理系的な戯れ

理工学系とくにロボットやドローンに関する計算・プログラミング等の話題を扱って、そのようなことに興味がある人たちのお役に立てればと思っております。

転がり抵抗測定(2)

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はじめに

こんにちは、こうへいです。

前回、転がり抵抗を測ってみたのですが,何種類かの重量を用意して垂直荷重の変化に応じた転がり抵抗を計測しようと思います.

blog.rikei-tawamure.com

転がり抵抗の推定

前の記事では転がり抵抗係数を求めたのですが、今回は転がり抵抗を求めてみようと思います。そこで実験をした結果から転がり抵抗と、垂直荷重との関係から転がり抵抗係数を求めてみたいと思います。

斜面を転がった時間を測定することにより加速度を推定する事ができるので、加速度から転がり抵抗を推定する方法について書こうと思います。

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斜面を転がるタイヤの自由体線図

運動方程式とつりあいの方程式

自由体線図( Free body diagram)から、運動方程式とつりあいの式を書いてみます。 座標軸は斜面に平行と垂直にとるのが式の記述が簡単になります。

並進の運動方程式

斜面に平行方向は運動するので運動方程式になります。

\displaystyle{
m\frac{d v}{d t}=mg \sin \theta -f -D\\
}

運動方程式は「質量x加速度=かかる力の総和」なので考えないとならないのは「かかる力の総和」でそのため自由体線図を描いて漏れがないようにします。

つりあいの方程式

斜面に垂直方向はつりあいの方程式です

\displaystyle{
N-mg \cos \theta =0\\
}

つりあいの方程式は「かかる力の総和=0」という式なので、こちらもやはり自由体線図をみて漏れがないようにします。

回転の方程式

さらに回転の方程式を立てます。回転の正方向は斜面を転がる回転方向とします。

\displaystyle{
J\frac{d \omega}{d t}=f -RD\\
}

回転の方程式は「慣性モーメントx角加速度=かかるモーメントの総和」です。モーメントの総和もかかる力と回転中心を見てモーメントアームを見出して、漏れがないように記述します。

タイヤの転がり運動においては転がり運動を起こすものは接地面とタイヤとの摩擦だというところが味噌だと思います。

記号の意味

記号の意味を下表に示します。

記号 意味
m 質量(kg)
v 速度(m/s)
g 重力加速度(m/s2)
\theta 斜面の傾き(rad)
f 摩擦力(N)
D 転がり抵抗(N)
N 垂直反力(N)
R タイヤ半径(m)
タイヤは滑らない

タイヤは滑らないことを前提にすると、次のような関係があります。

\displaystyle{
\frac{d \omega}{d t}=\frac{1}{R}\frac{d v}{d t}\\
}

回転の運動方程式を上式を用いて次のように書き換えます。

\displaystyle{
\frac{J}{R}\frac{d v}{d t}=Rf -RD\\
}

この式と並進の運動方程式から摩擦力を消去すると

\displaystyle{
\left(mR+\frac{J}{R}\right)\frac{d v}{d t}=Rmg\sin \theta -2RD\\
}

これを転がり抵抗Dについて解くと

\displaystyle{
D=\frac{1}{2} mg\sin \theta- \frac{1}{2} \left(m+\frac{J}{R^2}\right)\frac{d v}{d t} \\
}
加速度の推定

前回も掲載しましたが動画のような実験をして、走行時間を計測します。運動は等加速度運動とみなし、走行時間から加速度を求めます。

\displaystyle{
\frac{d v}{d t}=\frac{2L}{t^2} \\
}
記号 意味
t 走行時間(s)
L 斜面の長さ(m)


転がり抵抗測定実験

試験体

旋盤作業

タイヤに取り付ける軸の重量を4種類用意して垂直荷重による転がり抵抗の違いを明らかにします。

そのため、アルミ、鉄、真鍮の丸棒を用意して、それぞれの端面を平行にして取り付け用の雌ネジを切りました。 久々に旋盤作業をしました。

慣性モーメント

それぞれの軸やネジ、ホイールの重量、直径からそれぞれの慣性モーメントを求めます。求め方は省略しますが、結果だけ載せます。

軸材質 慣性モーメント(Kgm2)
真鍮 8.458\times 10^{-5}
3.350\times 10^{-5}
太アルミ  4.781\times 10^{-6}
細アルミ  1.620 \times 10^{-6}

実験結果

静止状態から転がし始め斜面を転がり終わるまでの時間を測定しました。 この転がし実験を10回位以上行い、走行時間の平均値を算出しました。

軸材質 走行時間(s)
真鍮 4.255
3.983
太アルミ 3.806
細アルミ 4.175

垂直荷重と転がり抵抗

測定結果から転がり抵抗を算出し、垂直荷重と関連づけて表にまとめます。

軸材質 垂直荷重(N) 転がり抵抗(N)
真鍮 10.61 6.852\times 10^{-2}
6.467 3.417\times 10^{-2}
太アルミ 1.333 5.814\times 10^{-3}
細アルミ 0.2756 1.740\times 10^{-3}

グラフに図示してみます。

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垂直荷重と転がり抵抗

このグラフの傾きが転がり抵抗係数と考えて良いと考えますか、上の図の場合では

転がり抵抗係数:6.12\times 10^{-3}

おわりに

転がり抵抗を推定してみました。

タイヤにかかる荷重によりタイヤの変形量が変わるため、転がり抵抗は荷重により大きくなると予想していましたが、 概ね荷重に比例して大きくなる傾向を実験より確認することができました。

タイヤの種類がなく、随分使い古しのタイヤでの測定となっているので、タイヤの硬度の違いでの比較をしてみたいです。

また、実験方法についても時間測定が目で見て手動でストップウオッチを押すというもので、精度に疑問があります。 というものの、実験結果を見ると荷重に対してリニアに転がり抵抗がもとめられたのを見て、最初はマイクロマウス のスタートゴールセンサーと計測機のようなもので時間を測ろうと考えていて、実験を開始するのに手間が増えるので躊躇していましたが、まずは割りけってアバウトな方法でやってみましたが、意外と傾向は出たのでよかったです。

今回の実験方法で実験して、転がり抵抗の大体の目安が分かったと思うので、今後のシミュレーション等にも生かせそうです。

今回のブログ記事はMarkdownで表を作る方法をマスターしました。そちらも一歩前進です。

では、また!